今この瞬間の輝きを

東電の危機管理能力

東電

福島第一原発の事故で東京電力の対応が後手後手に回った原因の一つは、原子炉を設計したのが日本企業ではなく、アメリカのGE(ゼネラル・エレクトリック)だったことである。

1号機と2号機は完全にGEが手掛け、キーを回しさえすれば設備が稼働する状態で引き渡した「フルターンキー」。
3号機と4号機は東芝と日立製作者がそれぞれGEの設計に基づいて(ライセンス供与を受け、若干の修正を加えて製造)”国産化”したもの。

特に東電はGEを崇め奉っていて、自分たちで創意工夫する原子炉の建設を放棄していた。
東電のオペレーターはひたすらGEのマニュアルを勉強して覚えるだけ。
自分の頭で考えることがない。

ただし、今回の経緯を見ると、さすがGEと感心するぐらいシステム防御策が念入りに考えられていたことは確かである。
つまり、今回の場合は設計者の思想よりも”現場の知恵”が不足していたことの方に問題がある。
原子炉がアメリカ仕様の440Vでも、おかしいとは思わない。
したがって、440Vの電源車すら用意していない・・・

2002年、圧力容器にひび割れがあることを隠しているという、GEの下請けのエンジニアによる内部告発を受ける。
この「原発トラブル隠し」が大問題となって当時の会長と社長が辞任に追い込まれ、福島第一原発所長を20年経験した常務をはじめとする原子力畑の人間はことごとく粛清された。

その後の東電は、供給力の35%を原子力に依存していながら原子力をエンジニアを忌み嫌う会社になり、経営陣の大半を人事や総務、経理など事務系の人間が占めるようになった。
その典型が、体調を崩して入院した調達部門出身の清水正孝社長である。

今回、東電の危機管理能力が低くて対応が鈍いのは、複雑極まりない原発の内部構造を熟知している人間が上層部にいないからでもある。

 

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