正しい意味におけるデフレとは、バブル崩壊後の国でしか発生しない。
そもそもバブル経済とは、不動産や株式などの資産価格が上昇することを意味しているのではない。資産価格の上昇そのものではなく、「負債(借金)を増やして資産に投資する人が(極端に)増えた」結果、不動産などの価格が急騰することこそが経済のバブル化だ。
バブルが崩壊すると、投資した人のバランスシート(賃借対照表)上で、資産価値が急減する。
とはいえ、その資産を購入するために借りた負債は消えない。
企業や家計は、所得をひたすら借金返済に回すという経済行動に出る。
したがって、本来は投資(需要の一部)に回るべきお金までもが銀行への返済金に回り、GDP(国内総生産)が激減してしまうのである。
GDP激減とは、国民経済上の需要の収縮を意味する。
需要が縮んだとしても、その国の国民経済が保有する供給能力(潜在GDP)は簡単には減らない。バブル崩壊後の国では供給能力が需要を上回る「デフレギャップ」が発生する。
結果、企業の生産やサービスの供給を「需要側」が満たすことができず、物価が下落する。
さらに、バブルが「自国通貨建て」で発生した場合、バブル崩壊後の企業の投資意欲縮小が、国内の資金需要の減退をもたらす。企業側からしてみれば、お金を借りて投資するよりも、まずは自らのバランスシートの貸方に計上された負債返済に邁進したいわけだ。
国内の資金需要が低迷すると、銀行側は積み上がる預金の運用を企業への貸出金だけでは賄いきれなくなる。貸し出しに回せない預金、すなわち過剰貯蓄を放っておくと銀行は逆ザヤになってしまう。
結果、銀行は過剰貯蓄の運用先として国債を選択せざるを得ず、その国の長期金利は超低迷することになる。
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