金融緩和を行わずに財政出動しても、変動相場制のもとでは、資金調達のために国債を発行すると長期金利が上昇して円高になる。
そうなれば輸出が減り、財政出動で増えた内需を相殺してしまうからだ。
その意味では金融緩和をせずに減税した場合も、税収不足を国債発行で補うため、同じ理屈で相殺されてしまう。
では、具体的にどの程度金融緩和をすればよいのか。
アメリカはリーマン・ショック後にドルを刷りまくったため、現在のドルのマネタリーベースはざっと2兆ドルある。それに対して日本の円は130兆円で、この間あまり増えていない。
ドル、円だけで単純な比較をすれば「1ドル=65円」になる。
過去の為替レートの変動は7~8割程度、この計算でほぼ説明がつく。
多くの”経済学者”や”専門家”が信じないが、実はこんなにもシンプルな話なのだ。
「為替はその国の国力を反映する」などということをもっともらしく解説するものが多いが、デタラメもいいところだ。
仮に日本が金融緩和によって70兆円分「お札」を刷れば、マネタリーベースは200兆円となり「1ドル=100円」に相当する。
物価や為替への急激な変化を抑制するには20兆円ずつ3回に分けて実施するのが望ましいだろう。
自動車や電機など、日本の主要な輸出企業は想定為替レートを「1ドル=80円台」で計算しているから、100円になれば大増収増益になる。
当然、税収も増え、財政再建につながる。増税の必要はまったくない。
増税は政府が民間からカネを吸い上げるのだから、間違いなくデフレを深刻化させる。
日本がこのまま金融緩和をしない、増税、といったデフレ政策を続けるなら、各国が通貨安競争で輸出を増やし、経済を立て直そうとしている一方で、日本だけ円高が進み、日本の企業・経済は弱体化していく。
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