ドルの行方であるが、ドル高修正の流れはいよいよ最終局面を迎えると予測する。
財政恐慌の危機はギリシャ周辺から始まり、次第にEUの中心へと向かっているが、最終的には本丸アメリカへと向かう。
振り返れば、ドルと金の交換停止を宣言した71年8月の「ニクソン・ショック」により、事実上ドルは基軸通貨の地位から退位を余儀なくされ、85年9月の「プラザ合意」によって、ドル安が世界の合意となった。
こうしたドルの落日にとどめを刺したのが08年9月の「リーマン・ショック」だった。
加えて近年、アメリカ自身が、ドルが基軸通貨たることを放棄し、ドル安を露骨に望んでいる。
それを物語るのが、オバマ大統領が10年初めの一般教書演説の中で「向こう5年間で輸出を倍増させる」と宣言したことだ。
さらに11年の一般教書演説では「今後、世界で誕生する雇用機会はすべてアメリカで生まれ、新たに起こるイノベーションはすべてアメリカで起こるものでなければならない」と発言した。
あからさまに”アメリカ良ければすべて良し”と宣言したのである。
ドル高修正の象徴として、いずれ「1ドル=50円時代」が到来するという予測もされていたが、12年にはその数字がいよいよ現実のものとなっていくだろう。
1ドル70円を割れば一気に加速がつき、60円を割って50円へと向かう。
その時、名実ともに、完全にドルは基軸通貨でなくなる。
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