毎時2000ミリシーベルトという高い放射線、数万tにも及ぶ大量の高濃度汚染水、行く手を阻む瓦礫の山・・・ そうした環境の中で毎日、東電社員が300人以上、協力会社などの作業員が1000人以上、復旧に向けて奮闘を続けている。
中でも復旧作業の主力となっているのは、現場を熟知する東電の技術者である。
前線で働く機会が多ければ多いほど被曝線量は増えていく。復旧作業が長期化して被曝線量が上限に達すれば、現場で作業はできなくなる。
このままでは現場に精通した技術者がいなくなってしまうことが心配だ。
彼らには別の心配事もある。
復旧作業に従事している東電社員の大半は、地元福島に生活基盤を持っている。彼らの家族は今、避難所に身を寄せている。
自ら口を開かなくても、夫や父親が事故を起こした東電の社員だと知られている。
そのため、何かと肩身の狭い思いをしている家族が少なくないらしい。
実効性の点から無駄と思えるような作業も少なくない。
余計な作業が加われば、その分現場で働く作業員らの被曝量も多くなってしまう。東京ではなく現地に対策本部を設けて、迅速な管理を徹底させることだ。
そして循環型の冷却システムを再構築し、炉心の強制冷却を行うことである。現行の冷却法では、いたずらに高濃度の放射性物質に汚染された水を増やし、外部へと漏出させているだけともいえる。
さらに今回の原発事故を収束させたとしても、その先の廃炉作業へと移行するには10年以上の時間がかかる。現場が放射線との戦いの場であるという点は変わらず、その実務を担うのはやはり東電の技術者と現場の作業員である。
79年のスリーマイル島の事故では、燃料取り出し開始までに6年、クリーンアップ完了まで14年かかり、今も炉は監視下に置かれている。
現場は、今後10年以上にわたり放射線との長い戦いを強いられることになる。
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