今この瞬間の輝きを

高橋是清に学ぶ

高橋是清

1929年の世界恐慌は日本では「昭和恐慌」と呼ばれた。
当時の浜口雄幸内閣の井上準之助・蔵相は徹底した緊縮財政というデフレ政策を取った。
金融政策でも、ウォール街の株価大暴落の2か月後に「金解禁」に踏み切ると、正貨(金)が海外に流出し、株・商品市場が大暴落した。
街には失業者と欠食児童、農村では娘の身売りが相次いだ。

そこに登場したのが犬養毅内閣の高橋是清蔵相だった。
彼は真っ先に金の輸出を再禁止すると、国債を増発して財政拡大路線に転換し、同時に、国債を日銀に引き受けさせて大胆な金融緩和を実行した。
デフレ政策から、ゆるやかなインフレを目指すリフレ政策をとったのだ。

この時、お札の印刷が間に合わずに、裏面が真っ白な通称”是清札”まで印刷され、市中にはお金が溢れた。
これによって日本は世界の中でもかなり早い段階で恐慌を脱出することができた。

しかも、是清はいったん国債を日銀に引き受けさせた後、そのうち9割くらいは市中に売却させることでハイパーインフレも防いでいる。
見事な手腕としか言いようがない。

現在、日本経済を苦しめているデフレ、超円高は、リーマン・ショック後に各国が金融緩和を行っているにもかかわらず、日本だけがそれをしなかったことが大きな原因だ。
マネタリーベース(世の中に出回っているお金の総額)で考えると非常にシンプルで分かりやすい。
ドルが増え、円が増えなければ、ドルの価値は下がり、円は相対的に希少性が高くなり、円高になるのは当然だ。

日本が今やるべきなのは、思い切った金融政策で「円」を刷りまくることだ。
「政府紙幣」の発行や国債の日銀引き受け、あるいは買いオペ(発行済みの国債を日銀が市場を通じて買う)など手段はいくらでもある。
そうすれば、市中にお金が増え、デフレを脱却できる。

さらに為替は円高から円安に振れるから、輸出産業は大幅に収益が改善し、景気は良くなり、資金需要も増えるという相乗効果が生まれる。

まず、この金融政策の大転換をしない限り、どんな政策も効果は薄い。

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