1991.11.10
’91 西日本ロードレース選手権 第9戦 NA-GP250
シリーズ・チャンピオンの懸かった最終戦・・・
この場面でも、ライダーには2通りのタイプがあるようだ。
シリーズ・チャンピオンが目標で、シーズンを通して無理をせずにポイントを拾っていくタイプ。
1戦1戦「勝ち」に行き、結果としてのシリーズ・チャンピオンと捉えるタイプ。
さて、僕はどっちだろう。
もちろんチャンピオン争いなんて初めてなので、走ってみなければ分からない。
ただ、シリーズ・チャンピオンを逃すことはしたくない。
記憶にも記録にも残るのはチャンピオンだけだ。
ランキング2位なんて1年経ったら誰も覚えちゃいない・・・
チャンピオンになる為の条件は、
ランキング2位の奴の順位に関係なく、僕が8位以内でフィニッシュすれば決定する。
現在の調子から言って、少し手を抜いて周りを見ながら走ればどうってことないだろう。
さあ、僕はどうするでしょう?
美祢サーキット 1’34.318 予選1位
これまでのベストラップは 1’35.147
ちなみに、ここで走った全3戦では新品タイヤを一度も履いていない。
経済的事情からだが、鈴鹿サーキットのパドックにあるタイヤサービスに行くと、20~30分走っただけのタイヤがごろごろ捨ててある。
お金のあるチームは、練習でも頻繁にタイヤを換え、そのまま捨てていくのだ。
もちろん、レース用タイヤの一番おいしいところは5~6周で終わると言われているが・・・
それを友達らと拾いに行くわけだ♪ サーキットの傍に住んでいる者の特権!?
いやいや、そういう問題じゃないでしょ・・・ (-_-;)
今回、ポールポジションを獲ったタイヤは真夏用の硬いコンパウンド。
今は11月・・・ グリップするわけがない。
本来なら、まともに走れないようなタイヤなのだが、手持ちがこれしか無かった・・・ (-_-;)
いよいよ決勝だ。
シグナル・青とともにリヤブレーキを離す! 「ガガガガガっ」 ・・・!?
妙な振動と共に、クラッチに伝わる動力が一定ではない!
それでも車速が乗り、クラッチを完全に繋いでしまえば収まった。
ギアチェンジにも問題はなさそう。
どれどれ、1コーナーを立ち上がったところで先行車の数は・・・ 7台!
ポールポジション獲った意味ないじゃん・・・(-_-;)
「このままでもチャンピオン決定だな」 ・・・なんてことは考えちゃいない。
2~3周後には4位に上がり、さらに2~3周後には3位、2位と順位を上げていく。
前回、どうしても抜けなくて優勝を持って行かれた奴は追いついた瞬間にパスしていた・・・
そして中盤以降はトップ争いのデッドヒート!
ほぼ毎周、さらには1周で2度3度順位を入れ替える!!
こりゃ楽しいわ、レースはこうでなきゃ!!!
ちなみに相手は、シーズン初戦の鈴鹿でトップ争いをした奴だ。
その時は、お互いに転倒で終わったわけだが・・・
嫌な思い出が頭をよぎる・・・
ここまで攻め込んでいて転倒でもすれば、シリーズ・チャンピオンも水の泡となる。
だが、どうやら僕にはポイントを計算しながら走るなんて芸当は出来そうにないらしい。
「いちばんじゃなきゃいやだ~!」
そして、ついに相手が目の前で転倒!
そのままホームストレートに帰ってきたらチェッカーフラッグが振られていた!?
あれれ、今のが最終ラップだったとは知らなかった・・・ (-_-;)
あまりのバトルの激しさ、楽しさでサインボードを見るのも忘れてた!?
決勝 1位
ベストラップ 1’33.647 (決勝中、全体のベストラップでもある)
これまでのベストラップは 1’34.318(今回の予選)
ポール・ポジション、ベストラップ、優勝の三冠を引っ提げて、
1991 西日本ロードレース選手権 シリーズ・チャンピオンに輝いた。
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